定義
集合$V$が次の2つの性質をもつとき,$V$は$K$上のベクトル空間であるという.
- $x,y\in V$に対して,加法$x+y\in V$が定義されている.
- $x\in V$と任意の$\alpha\in K$に対して,スカラー積$\alpha x\in V$が定義されている.
さらに,次の性質ももつとき,$V$は$K$上の$n$次元ベクトル空間であるという.
- $V$の中に$n$個の元$e_1,e_2,\dots,e_n$が存在して,$V$の任意の元$x$は,ただ一通りに\[ x=x_1e_1+x_2e_2+\cdots+x_ne_n\quad (x_i\in K)\]とあらわされる.
上記の加法とスカラー積は,次の8つの演算規則をみたすものとする.($\mathbb{0}$は零ベクトルで$\mathbb{0}={}^{t}[0\,0\,\cdots\,0]$である.)
- $(u+v)+w=u+(v+w)$ — 和に関する結合律
- $v+w=w+v$ — 和に関する交換律
- $a(bv)=(ab)v$ — スカラー倍に関する結合律
- $1\cdot v=v$
- 任意の$v$に対し,$v+\mathbb{0}=\mathbb{0}+v=v$となる$\mathbb{0}$が存在する. — 零元の存在
- $v$に対し,$v+w=w+v=\mathbb{0}$となる$w$が存在する. — 和に関する逆元の存在
- $(a+b)v=av+bv$ ー 分配法則
- $a(v+w)=av+aw$ ー 分配法則